『アイ・アム・レジェンド』

ハリウッド一気さくなスターといえば、ウィル・スミス。普段から人を楽しませることが彼の生きがいなのでしょう。会見場での記者にすら、お茶目なサービス精神を忘れない、愛すべき男。日本のお笑い芸人が束になってかかっても、彼のユーモアセンスには叶いません。
そんな無類のサービス精神は、映画でも健在。おバカなSFコメディはもちろんのこと、シリアスなヒーロー物であっても、合間合間で見せるノリノリでユーモラスな(でもやり過ぎない)芝居でリズミカルにストーリーを進め、飽きさせません。今回も彼の独壇場でした。荒廃したニューヨークにたった一人生き残った男。話す相手は愛犬とショップに残されたマネキンだけ。そんな物悲しさにさり気なくユーモアを織り交ぜながらたった一人で物語をグイグイ引っ張るところは、まさにハリウッド・スターの圧倒的存在感といえるでしょう。
予告見て期待していた通り、前半、何が起きているのかがわからない間は非常に面白かったです。あの一見一人ぼっち生活を謳歌しているかに見えた主人公の心に潜む、恐怖心。物静かな風景がどこか不気味で、躍動感溢れる主人公と愛犬の姿が好対照となって、ハラハラ感を煽られました。それだけに、アレが登場した瞬間のガッカリ感といったらなかった。なんだ、これじゃ狂犬病になぞらえた単なるホラー映画じゃん・・・と。しかも理性をなくしたはずの奴らに、リーダーがいる時点で一気に萎えました。まだマネキンが勝手に移動していたところまでは盛り上がったんですけどね。唐突に女性が登場し、主人公を救う展開にも「え〜っ」だし、ラストもそれでレジェンドか・・・と。もっと斬新なミステリーを期待していたので、ちょっとやられました。や〜、見事に予告に釣られましたわ(苦笑)。

評価 ★★★☆☆