『ウォンテッド』

久々に胃のムカつきを堪えきれないほど後味の悪い作品に出会ってしまった。殺しのカルト集団によるキチガイじみた世界を、マトリックス風のアクションで味付けしたこの作品。私には無理でした。目を覆いたくなるような陰惨かつグロテスクなシーンの数々に、命の重さに1ミリたりとも敬意を払わないアンモラルな世界観。彼らのせいで罪もない多くの人々が巻き込まれて命を落としていくというのに、そこに後悔や痛みというものは一切描かれていない。そのあまりにも非人道的な展開に、吐き気と怒りを禁じえませんでした。
そりゃぁこれはフィクションだし。あくまで娯楽映画だから。頭ン中空っぽにして、単純にアクションを楽しめばいいじゃん。という人も沢山いると思う。現に予想外のヒットで、3部作になるという話も聞こえており、それだけこの過激な内容がウケているということでしょう。でもだからこそ、怖いな、と思う。こういう人の死に痛みを感じさせない映画がどんどん人の感覚を麻痺させていくような気がするから。
プライベートで人道主義を貫くアンジー。なぜこんなアンモラルな暴力映画に出たんでしょうね。『マイティ・ハート/愛と絆』と真逆の作品。アンジーだし、アクションだしってことで、『Mr.&Mrs. スミス』や『トゥームレイダー』を期待して見に行くと大怪我をします。*1そもそも、アンジー主演と謳っているけど、それすら多いに疑問だし。
後半のどんでん返しやクライマックスでのアクションは確かに見ものです。アンジーの決断も。けど、見終わった後胸の中に残る不快感が、私にとって全てでした。あ〜、思い出しただけで気持ち悪くなる・・・。ホント苦手です、こういう映画は。
評価 ★★☆☆☆

*1:私のこと