『ジャンパー』

冴えない主人公が、ある日特殊能力を身につけ、人生が一変してしまう・・・。と、ここまではよくあるヒーロー物のセオリー通りなのですが。この映画はとにかく主人公に共感できないのが大問題でした。他人のために特殊能力を使うわけではなく、あろうことか銀行から奪った金で最高の暮らしと自由を得、ただ好き勝手に世界へジャンプしまくるという、とんでもなく無責任な奴。特殊能力に溺れ、自己中で自惚れの強い性格が鼻に付く。だから突然表れたハンターとの対決も、両者供に傍迷惑な行動としか思えない。そもそもハンター自体、何の目的でジャンパーを狩っているのかわからない。意味不明の人殺し組織。まったく共感できません。ヒロインはヒロインで、主人公の犯罪をあっさり受け入れ2人でラブラブハッピーエンドって、いいのかそれで!?誰一人として感情移入できないから、手に汗握るハラハラドキドキ感がまったく感じられないわけです。おかげで肝心のアクションもただ色あせてみえるばかり。
主演のヘイデン・クリステンセンですが、これがまた驚くほど華がない。ま、代表作アナキン・スカイウォーカーですら私にはピンと来なかったので、好みの問題も多いに関係してるかもしれませんが。とにかく表情に乏しく、内面の葛藤がまるで見えないので、単なる鼻持ちならない奴にしか見えませんでした。お久しぶりのサミュエル・L・ジャクソンもなぁ・・・。元々顔が怖いから、もっと意外性のある役の方が味があっていいのにと思うわけです。個人的に、『交渉人』の彼はケビン・スペイシー共々最高でした。
売りの一つである世界規模の映像とやらも、単なる背景でしかなく、別世界な感じ。一瞬でどこでも行けて羨ましいとも思わない。行き帰りの移動時間も、私にとって楽しいイベントの一つだから。やっぱり、旅行は時間を掛けてたどり着くからこそ、感動するものです。

評価 ★★☆☆☆