『ザ・マジックアワー』

公開初日に見て、思わず翌週も続けて劇場へ足を運んでしまったほど、久々にもう一度見たいと思った作品でした。個人的に三谷幸喜の作品は当たり外れが激しいんだけど、今回はストライク。とにかく、ギャングの抗争を映画の撮影と信じ込んでいるが故に生まれるギャップと偶然の符合。この辺りの、話しが噛み合っていないのに何故か噛み合ってしまう可笑しさを逆手に取った、巧みな脚本に拍手。前作の登場人物が多すぎて視点がぼやけてしまった『有頂天ホテル』とは違い、今回は佐藤浩市演じる”伝説の殺し屋役を演じる売れない役者”という、一本のゆるぎない柱があったので、ストーリー性としても見ごたえあり。たぶん、あと数回見てもクスクス笑える自身あります、私。
それにしても佐藤浩市。正直、こんなにコミカルな演技ができる人だとは思わなかった。元々いい俳優さんだとは思っていたけど、新たな魅力発見といった感じ。*1今までは濃すぎて苦手だったお顔ですら愛嬌あるように見えてくるんだもん、役の影響ってすごいよなぁと(笑)。この作品の旨味を余す所なく演じきった佐藤浩市に敢闘賞をささげたいです。中でも、相変わらず芝居なんだかアドリブなんだかわからない、絶妙な面白さの西田敏行や、渋いのにキッチリ笑わせてくれる寺島進との掛け合いなんて最高ですもん。寺島アニキ、やっぱりこのテの役柄似合うな〜、好きだな〜。コヒさんこと小日向文世の飄々としたマネージャーっぷりといい、深津ちゃんのキュートさといい、格さんこと伊吹五郎の「撤収〜」といい、どのキャストも最高でした。妻夫木くんは、濃くて芸達者なベテラン勢に比べるとちょっと存在感が薄かったけど、狂言回しの役柄にピッタリだったし。*2
ってことで、三谷作品ならではのアンサンブルキャストが、見事にはまった作品でした。

評価 ★★★★☆

*1:あの年齢で新境地にチャレンジするっていうのがすごい

*2:綾瀬はるかだけはノーコメントということで(汗)