『重力ピエロ』キャスト発表

かれこれ1年も前から首を長くして待ち望んでいた『重力ピエロ』のキャスティングがついに発表。主演の泉役に加瀬亮氏。って、うわ、私の妄想キャスティング通りじゃないですか。これはいい。期待できるぞと、高まる胸を押さえつつ、肝心の春は誰だろう???と目を凝らしてみれば・・・岡田将生。愕然。私の中で膨らみ始めた風船が、プシューッと音を立ててしぼんで行くのがわかりました。

何でよりによって春が岡田将生なの?いや、誤解のないように言っておきますが、別に彼が嫌いでも何でもありません。「イケパラ」も見てたし、確かに美形だと思います。でもね、春は若手実力派といわれる連中でもそう易々とは演じられない難役じゃないかと。単なるイケメンなら岡田くんでもピッタリでしょう。でも春は、神秘的な美しさと色気を兼ね備え、天真爛漫な無邪気さの裏に深い闇を抱えている、陰のある複雑なキャラ。見た目と幅の広い演技力、繊細な表現力が求められる役柄だと思うんですよね。それをまだ10代の、演技も拙さが目立つ発展途上な岡田くんに演じさせるのは、正直ちょっと厳しい気がする。そもそも、泉と春、加瀬さんと岡田くんでは年齢が一回りも違うじゃないですか。何かなぁ・・・。ROBOTなのに、もうちょっとしっくりくるキャスティングは出来なかったんだろうか。

この作品、『アヒルと鴨のコインロッカー』同様、主人公はあくまで傍観者に過ぎず、物語の要を握る真の主人公は『アヒルと鴨』でいうところの瑛太演じる河崎やドルジであり、『重力ピエロ』では春、つまり岡田くんなわけです。このキーマンが作品の成功の鍵を握っていると言っても過言ではなく、だからこそ、もっと経験豊かで演技達者な若手俳優をお願いしたかったなと。ま、イケパラ組みは皆すごい人気なんで、それなりにミーハーな客は呼べるのかもしれないけど、作品が目指す方向はそこじゃないと思うし。

個人的に、伊坂幸太郎作でも3番目ぐらいに好きな作品「重力ピエロ」。『アヒルと鴨』の完成度は無理だとしても、せめていい作品だったと思えるようになって欲しい。岡田くん、頼むから頑張ってね・・・。