『ライラの冒険 黄金の羅針盤』

あの『ロード・オブ・ザ・リング』のニューシネマラインによる、ファンタジー・アドベンチャー大作。『LOTR』の大ファンだし、ニコール・キッドマンがヒールに挑戦ということで、早速先行上映に足を運んできました。話題作なのでさぞかし混雑しているだろうと思いきや、日曜の夕方にも関わらず200強のハコに10名程度の観客って・・・えと・・・この映画大丈夫?地元のシネコンといえども、パイレーツでは2つのハコが30分前に完売していたことを思うと、早くもヒットラインが見えた気もしますが(汗)。ともあれ、久々に洋画大作らしいスケールを味わってきました。
なんと言っても、主人公を演じた若干13歳の新人女優、ダコタ・ブルー・リチャーズ。またまた大物子役の誕生です。何に驚いたかって、他の役者がセリフを言っている時もしっかり表情で演技をしている点。大人ですら、自分がセリフを言う時だけ演技をし、他人のセリフ中は傍観者になりがちな役者が多い中、彼女は既にそれが出来ているわけです。しかも、その表情の的確なこと。思わずハッとさせられました。こういう「受けの芝居*1」が出来る役者はやっぱり自然と目を引く存在感があるなと。早くも演技派の片鱗を見せ付けられ、今後が楽しみな一人となりました。
一方目玉のニコールは、ニ面性を併せ持つ妖艶な女性を貫禄たっぷりに演じてました。が、ちょっとニコールのインパクトが強すぎな気も(苦笑)。新ボンドことダニエル・クレイグは知的なイメージが似合っていたが見せ場も見所もなし。*2個人的に好きなのは、サム・エリオット。『LOTR』で言うところのガンダルフイアン・マッケラン)みたいな、主人公をバックアップする知恵者はファンタジー・アドベンチャーに欠かせません。で、そのガンダルフことイアン・マッケランが、主人公と行動を共にする鎧ぐまのイオレク・バーニソンの声を担当。ついでに白の魔法使いサルマンことクリストファー・リーも、またまた悪い人(笑)で登場という、『LOTR』を彷彿とさせるキャスティング。お久しぶりのキャシー・ベイツや、どこかアンディ・マクダウェルを彷彿とさせるエヴァ・グリーンなど、キャスティングはなかなか好みな感じで、個人的には十分楽しめる作品でした。もちろん、キャストの豪華さは『LOTR』に遠く及ばないですけどね。
ただ、原作は未読ですが、この「黄金の羅針盤」はまさに物語のプロローグでしかなく、さぁこれから・・・というところで終わってしまうのが何とも・・・ね。最近流行の3部作とのことですが、残念ながらインパクトも面白さも見所も『LOTR』のようなブームは見込めないでしょう。この映画に再起をかけていたニューラインシネマですが、先日ワーナーへ吸収されることが決定。『ライラの冒険』は残念ながら復活への起爆剤とはならなかったようですね。

評価 ★★★☆☆

*1:相手の反応を受けて自分の感情を表現する

*2:全部ニコールに持ってかれてます