『阿波DANCE』

高校生が仲間と共に一つの事に取り組む姿を通して、彼らの成長や葛藤、友情などを描く青春ムービー。ジャンル的には私の大好きな『ウォーター・ボーイズ』や『スウィング・ガールズ』系で、描き方によっては気持ちのいい感動作になったでしょう、おそらくは。はじめは反発し合っていた者同士が次第に打ち解けていったり、途中で仲間が脱落して最後には再び・・・という展開は、もはや青春映画のお約束。でもそれがこの手の映画における醍醐味というか、紆余曲折した過程があるからこそ、ラストがより感動的になるわけです。ところが、残念ながら今作はお約束の形を踏襲しているものの、その過程の描き方が実に大雑把。それぞれの心の動きがまったく描かれないままに出来事だけが切取られているので、見ていて全然心が動かされませんでした。あの『ウォーター・ボーイズ』の時みたいにジーンと胸が熱くなるような感動を期待していたんですけどね・・・。出きることなら、ほしのあき岡田義徳のやり取りや、寒いギャグシーンなんかいらないから、茜(榮倉奈々)たちの葛藤や触れ合いをもっと丁寧に描いて欲しかったです。とは言え、基本的に歓声と拍手に包まれて大勢で何かを成し遂げるシーンに弱い私としては、ラストの阿波踊りでちゃっかり涙が滲みましたけど。*1
あとも一つ残念だったのが、斬新さを期待していた阿波DANCEがイマイチだったこと。阿波踊りとヒップホップダンスを融合させるなんて、目の付け所はかなりよかったのに、KABA.ちゃんの振り付けもこれと言って目新しさはなく、むしろどっかで見た振り付けのように思えて仕方なかった。役者のダンスも男性陣の阿波踊りは良かったんですが、肝心の榮倉奈々ちゃんがね、もうちょっと頑張って欲しかったなと。あれでみんなが魅了される設定はちょっとキビシかったです。ただ、彼女の抜群のスタイルとファッションセンスはさすがでした。童顔の榮倉奈々にギャル系の役は似合わないと思っていたけど、ちゃんと都会っ子の雰囲気が出ていて思いのほか良かったし、対する勝地涼もダサファッションをしっかりものにしてこちらも田舎者にピッタリ。勝地くん、熱演してましたね。でも、実は今回の演技に関しては正直あれっ?って思うところもあり。こんなに学芸会風味の漂う演技する人だったっけ?と。むしろ仲間の1人を演じた尾上寛之の方がナチュラルかつ味があってよかったです。っていうかこの顔、どこかで見たことがあるな・・・と思いきや、「めだか」に出ていた彼じゃないですか。小日向文世さんの息子役の彼!*2こんな演技もできるんですね。ということで、全体的にちょっと中途半端な青春映画でした。

評価 ★★☆☆☆

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*1:単純

*2:マニアックだな(笑)