『俺は、君のためにこそ死ににいく』

冒頭からいきなり辛口ですが、早くも私の中で今年ワースト映画決定の勢いです。おかしいな、戦争映画にハズレはないと思っていたんだけど。完成披露試写だったにも関わらず、こんなに時間が苦痛に感じるのってどうなんでしょ。多分描きようによってはそれなりの作品になったと思うんですよ。でも、細切れなエピソードを無理やり詰め込んだ感のある脚本と、何よりセンスのない演出が全てを台無しにしていたというか。監督さんには申しわけないけど、まるで再現VTRを見ているかのようなレベルでした。構成も、CGも、役者の演技も、何もかもが。お久しぶりの窪塚洋介には期待してたんですが、さほどパットするわけじゃなく、筒井道隆に至っては出た意味を問いたくなるほど。しかも、一応主演の20世紀の裕次郎さん(徳重聡)なんて、存在感といい演技力といい完全に脇役の一人として埋れていましたから。多くの特攻隊員の人生の、ほんの一部分を切り取って繋げただけなので、途切れ途切れの記録映像を見せられている感じ。これでは誰に視点を合わせて見ればいいのかわからず、感情移入のしようがないわけです。一番よかったのが蛍のシーンでの名前を知らない役者さん。あそこだけグッと来ました。で、物語の真の主役岸惠子さんですが、雰囲気は結構出ていたんですが、その作りすぎな演技にどうも入り込めず。とにかく全体的にまとめると、個々のエピソードや役者といった素材はそう悪くないはずなのに、料理人のセンスがなさ過ぎでとっても中途半端な料理が完成した感じでしょうか。素材を生かすも殺すも監督の腕次第だなと痛感しました。正直、本編より舞台挨拶での岸恵子の戦争体験話の方が印象に残ったという・・・(汗)。
しかし岸恵子は若々しいですね。とても綺麗で上品な雰囲気の方でした。てっきり60歳前後かと思っていたら、隣のおじさん*1が70超えてるよって教えて下さいました。ひえぇぇぇ。おじさんの言葉を借りるなら、まさに「バケモノ」です。あと窪塚がね、戦争映画の舞台挨拶でもその格好かよ!みたいな。石原都知事もいるんですけど(苦笑)。一人浮いてました。あ、でもコメントは何気に彼が一番いい事言ってました。筒井道隆はですね、えと・・・ひょっとして舞台挨拶来たくなかったの?って聞きたくなるような仏頂面で(苦笑)。しかもあか抜けなさ過ぎでちょっとガッカリ。普段彼が演じる役柄そのままな印象でした。*2
評価 ★☆☆☆☆

*1:おじいさん?

*2:意外にO脚でスタイルよろしくなかった事を発見・・・。