『ブラッド・ダイヤモンド』

昨日のワイドショーで、豪華なダイヤモンドを身につけた伊東美咲が「これをつけただけで誰もが幸せになれる」とにこやかに語っていた。何てことない見慣れた芸能会見だけど、今朝はそんな彼女が何だか安っぽく見えた。多分、それだけ『ブラッド・ダイヤモンド』が私に与えた印象は強烈だったのだと思う。ダイヤモンドの利権を巡り、不毛な殺戮を繰り返すアフリカ、シエラレオネの人々の狂気と混乱の日々。そして言わば内紛の元凶でありながら、自らは安全な地で私腹を肥やそうとする人々の醜い姿。美しいダイヤの裏に蔓延る真実を真っ向から描こうとしたエドワード・ズウィック監督の、激しい憤りがビシビシ伝わって来ました。人の命を踏み台にして成り立つ愚かな戦争ビジネス。ダイヤモンド紛争に限らず、そこに利益が生まれる限り、決して戦争がなくなる事はないのだと思うと、虚しくて、悲しくて、何だかいたたまれない気持ちになりますね。かなり重いテーマで目を背けたくなるシーンも沢山あったけど、心から見てよかったと思うし、多くの人に見て欲しい映画です。エドワード・ズウィック監督と言えば私の中では『戦火の勇気』だけど、この作品もまた素晴らしかったです。
それと、忘れてはならないのがレオナルド・ディカプリオ。元々はかなりの演技派ながらも*1、一時のアイドル的売出しで迷走気味なレオだったけど*2、『ディパーテッド』と本作で完全復活の感あり。野性味溢れる演技で汚れ役に徹し*3、最後の最後に見せる人間らしい一面への移り変わりも見事。グッと胸に来るレオの演技に気が付けば涙ボロボロでした。今回はオスカー取らせてあげたかったな・・・。無名の黒人俳優ジャイモン・フンスーの鬼気迫る演技もすごかったです。
評価 ★★★★★

*1:ギルバート・グレイプ』や『バスケットボール・ダイアリーズ』、『仮面の男』など

*2:ザ・ビーチ』なんてほんと最悪だった

*3:声が高いので喋るとちょっと違和感はあったけど