『デジャヴ』

タイトルからミステリアスで重厚なサスペンスを期待していただけに、ちょっと騙された感もあり。全然”デジャヴ”じゃないじゃん!みたいな。早々とネタが割れた瞬間、サスペンス映画が一気に荒唐無稽なSF映画へと成り代わってしまい、何だか拍子抜け。それでも、デンゼルの迫真の演技とハイスピードな展開にあっという間に引き込まれ、ドキドキハラハラな展開にラスト近くまでは十分楽しむ事が出来きたんですけどね。ストーリーも凝っていて、入り組んだ話しが畳みかけるように次々繰り広げられので、一瞬でもボーッとしてると完全に置いていかれます。ハリウッドには珍しく、かなり頭の使う映画。おかげで怠けきった私の脳細胞にはいい刺激になりました。ただ残念ながらあのラストはちょっと頂けない。収集付かなくなったタイムパラドックスは放置だし、取って付けたかのように”デジャヴ”させるしで、何ともスッキリしない結末でした。
それにしても、デンゼル・ワシントンは相変らず知的なナイスガイだこと。と言ってももういい年のオジサンだけど。いつもの抑えた演技ではなく、積極的に動き回り年齢を感じさせないヒーローぶりでした。一方歳月の流れが痛々しかったのがヴァル・キルマー。見事に恰幅よくなってて、誰かと思ったじゃないさ。しかもいつの間にやら本筋からフェードアウトしてるし。元々あまり好きなタイプの役者ではないけど、一時のようなオレ様ヴァルの影も形もなかったのは、ある意味切なかったな。それより何より、ジム・カヴィーゼルのキレっぷりがお見事でした。
評価 ★★★☆☆