『スパイダーウィックの謎』

チャーリーとチョコレート工場』のフレディ・ハイモア主演による、ミステリーファンタジー。スリル溢れる夢と冒険の物語かと思いきや、全然違いました。はっきり言って怖い。ミステリーというよりもホラーに近い感覚ですね。ゴブリンやら何やら、主人公たちを脅かす妖精がとにかく凶暴かつ醜悪で、絵的にもかなりグロテスクで。子供向けにしてはかなりダークな作品。かと言って大人向けかと言えばそうでもなく。世界征服をたくらむにはやけに小物感漂うゴブリンの姿&言動が作品のチープ感を煽り、迫力はなし。その辺が妙にアンバランスで、最初はどういうスタンスで見ればいいのか若干戸惑いました。何と言うか、全てが子供の空想レベルのお話なんですよね。でもそれが反って身近な感覚を呼び起こし、いがみ合っていた兄弟が次第に力を合わせて成長していく姿に、いつしか引き込まれてしまいました。『ハリポタ』や『ロード・オブ・ザ・リング』をはじめ『ライラの冒険』など、最近すっかりと壮大なファンタジーを見慣れてしまっているから、こういう身近なファンタジーは逆に新鮮。ラストの大立ち回りは、子供たちの知恵に『ホームアロン』的な面白さを感じつつも、最後の一捻りにドキッとさせられたりと、何気に楽しめました。見終わった後は、まるで一夜の悪夢から覚めたような安堵と清々しさを味わえます。
それにしてもフレディ君は見事でしたね。あの双子君達。似てるなぁぐらいで、彼の二役だってことに途中まで気付きませんでしたから(苦笑)。性格だけでなく身長も違ってたし、疑いもなく3人の役者がその場にいるように見える。最近の映像技術は怖いものなしですね。
評価 ★★★☆☆