『陰日向に咲く』

原作は未読ですが、話題のベストセラーと豪華出演者に惹かれて劇場へ。色んな登場人物の生き様がオムニバス形式で描かれいますが、それぞれのエピソードがバラバラすぎて何だか雑然とした印象を受けました。ちょっと、2時間の映画にするには欲張りすぎたんじゃないかな。あと最後に話がリンクする点も、もうちょっと上手くつなげて欲しかったぁとも。普通に先が読める流れだったので、この手の映画にあるなるほど〜という爽快感が残念ながら感じられませんでした。
でも、個々のエピソードはそれぞれ味があって良かったです。特に西田敏行はさすが。あの雰囲気、世界観。存在だけで作品に奥行きが生まれるんだものすごいわ。あと三浦友和もいいですね。個人的に平山あや塚本高史のエピソードがお気に入りです。何か初恋の甘酸っぱさと優しさにキュンと来ました。一方で、主人公の岡田君や宮崎あおいちゃんが今ひとつというか、彼らじゃなくてもよかったんじゃないかなぁと。お芝居は問題ないんだけど、役にはまってなかった印象です。ギャンブル狂でだらしない主人公のはずなのに、岡田君本来の格好よさが透けて見えてしまったり、あおいちゃんも可愛いんだけどコントのシーンに無理が見えて、どうしてコンビが人気者になったのか、その説得力に欠けてしまっていたんですよね。ついでに言うと、伊藤君が西田さんというのも、かなり無理がありました(汗)。
全体的にはつまらなかったわけではないけど、料理方法次第ではもっと面白い作品になったんじゃないかなぁという気も。因みに、一番胸に来たのは、オレオレ詐欺と知っていながら人との係わり合いや温もりを求めて騙されたふりをしていた女性が主人公へ宛てた手紙でした。あれは泣けました。どんな人間でも、沢山の人との係わりの中で、支えられて生きている。そんな優しさや人の温もりの大切さをふと気付かせてくれる作品でした。

評価 ★★★☆☆