『バブルへGO!! タイムマシンはドラム式』完成披露

「これより面白いタイムマシン映画を俺が作る」。とは、本広監督の『サマータイムマシン・ブルース*1を見た時の亀山P*2の一言。おそらく相当悔しかったんだと思う。『STMB』を認めつつも決して褒めなかったから。冒頭の一言はそんな彼のプロデューサー魂に火がついた証。ライバル意識メラメラです。*3
そんな亀P渾身のプロデュース作品がついに完成。という事で早速見て来ました。早くもタイトルからしてB級の匂いがプンプン漂うこの映画。ドラム式洗濯機に主人公が乗り込む絵は、クローネンバーグ監督へのオマージュか?*4。洗濯機だから洗剤を入れる。当然泡立つ。だからタイムスリップ先はバブル期へ。何て安易な(笑)。でもこういうノリは決して嫌いじゃないです。バブル期という近過去を舞台に、阿部寛広末涼子薬師丸ひろ子という、ある意味一世を風靡した役者*5を揃えたあたりもなかなか面白いと思う。ベタベタなギャグに単純かつ先の読める展開。気楽に見るにはもってこいのポップコーンムービー。でも、肝心の笑いの部分が波に乗れていない映画でした。ベタな作品ほど意外と役者のセンスが問われるもの。ヒロスエの演技を見てつくづくそう思いました。主役2人のコメディセンスに全てが掛かっている作品において、肝心の”間”とか”呼吸”が掴めてないとやっぱり厳しい。普段コメディの上手い阿部ちゃんも、どうした事か今ひとつ乗り切れていない感じで。あらゆる要素が、全てにおいて微妙にタイミングがずれてしまっている気がします。故にそこかしこに散りばめられた笑いの要素が宙ぶらりん。ようやくリズムに乗り始めたのが最後のドタバタ劇だったという、なんか惜しい映画でした。でももしかすると、バブル期を味わった世代にはまた違った見方で楽しめるのかもしれません。

とは言え、ヒロスエはめちゃカワでした。とても一児の母とは思えない。中にはファン必見のショットもあるし、まるで広末PVみたい。劇団ひとりも相変わらずの芸達者ぶりで。芸人さんは歌手やモデルよりずっと役者に向いている気がします。ドランクの塚地とか。コントって案外表現力が必要だからその辺が通じてるのかも。もちろん映画に耐えうる演技が出来るのは極一部だと思いますが。それにしても今と変らぬ姿で出演しておきながら、バブル時代に違和感なく溶け込んでいた飯島愛。改めてバブル期の生きた化石だと思った。
舞台挨拶の方はこれまたトークがスベリまくり。そこへボディコン姉さんまで登場するし、かなり微妙な空気に(汗)。おまけに笠井アナまでがキャストの名前を間違える大失態で、この映画の行く末がちょっと心配になってしまったり。でも、伊武雅刀さんが素敵だったからきっと大丈夫。飄々としたトークは面白いし、何と言っても裏軒の峰パパ*6だし。嬉しかったです。
評価 ★★★☆☆

*1:05年に公開された瑛太初主演映画 通称『STMB

*2:『踊る大走査線』シリーズなどの仕掛人

*3:まだ企画の段階のためオフレコで「ヒロインは上○樹○なんかいいな」とも言っていた

*4:ザ・フライ

*5:もちろん現在も活躍中だけど

*6:By「のだめ」